「ハンスト」という言葉を知っていますか?
ハンガーストライキの略です。
ハンガーストライキとは、食事を摂らないことで自分の思いを伝えるのです。
正しい意味は辞書やらネットやらで調べてみてください。
私の母方の祖母は56歳で亡くなりました。
彼女は脳卒中で倒れ入院。
そのまま、食事を拒否して亡くなったと、母からはよく聞かされていました。
思いを伝えるというより、もう世を儚んでいたようでした。
祖母が亡くなったのは私が3歳のときです。
その2年前には、祖父(祖母の夫)が心臓麻痺で亡くなっていました。
祖父と祖母の歳の差は親子ほどでした。
祖母はある地方の絹織物を扱う大店のいとはん(長女)でした。
祖母の母(=曽祖母)は隣の県の綿織物を扱う大店の娘でした。
祖母は大正時代に生まれていますが、学校へは常にばあやが付いていたそうです。
曽祖母の実家は県でも大きなお店で市の中心に今でも残る庭園を作り、その庭園の池に舟を浮かべて楽しんだと聞いています。
お輿入れは大名行列のように、それは大層なものでした。
ところが、祖母の父(=曽祖父)は商売に失敗(金融に手を出していたらしいです)し祖母が女学校を卒業するころに亡くなってしまいました。
そして祖母は祖父と結婚し母たちが生まれました。
生活はずっと大変で苦労だったそうです。
祖母のハンストを母はなぜか肯定的に話していました。
「もう生きていたくなかったんや」と。
ずいぶん長い前置きでした。
もうお分かりだと思いますが、転院が近づくにつれ、母は食事を拒否するようになりました。
食いしん坊なので、全く食べないのではないのですが。
ほんの少し口をつけるだけだと。
このままだと転院はできない、と病院から連絡がありました。
家に連れて帰るしか道はなくなりました。